
テン・ティン・ドアーズのオリジナル製品の多くは、インドネシアの家屋で使われていたチーク古材を使って作られています。チークは東南アジア原産といわれる高級南洋材で、耐久性・耐水性もあり家具のほか船舶や建築材などに広く使用されており、その最大の輸出国はインドネシアといわれていますが、その中でも質のいい古材は年々減りつつあります。集まってくる古材はサイズも様々。それを丁寧に洗浄し削りだした上で、天然のビーズワックスやセラックニスで仕上げをします。家具の場合は使用感を重視し、表面はある程度平滑に加工しますが、中にはほぞ穴を埋めて修整した部分、板が交差して使用されていたために自然に風化した部分なども見られ、1点ずつ異なる表情を持つ古材から、再び息を吹き込まれる前の姿に思いを馳せるのも古材のひとつの愉しみ。使い込むことで変化する個性的な表情をお楽しみいただけます

製造工程で接着剤などの化学物質を使う合板に対し、木をそのまま削りだした一枚板を総称して無垢材と呼びます。無垢材は、生命体のもつ外見的な力強さ・美しさに加え、シックハウスなどで問題になっているホルムアルデヒドなど有害物質の放出もなく、人間にも環境にも優しい優秀な素材です。テン・ティン・ドアーズで使用している古材も、もちろん無垢材。しかし一方、無垢材には素材がまだ呼吸を続けていることによるマイナス面もあります。材料の乾燥時の収縮と梅雨時の吸湿は家具に形を変えてからも続いており、その息遣いが変形などの原因になることがあります。

ビーズワックス(Bee's wax=蜜蝋ワックス)とは、蜜蜂が巣を作るときに分泌される天然成分で、古くから保湿性の高いクリームやキャンドルなどの原料として使われてきた素材です。有害物質を発散するとされている従来の石油化学系塗料に比べ、この天然成分を使った仕上げは人や環境に対する安全性が高く、また従来の塗料のような塗膜を作らないことにより木の呼吸も妨げず、素材の持つ力と表情を最大限に生かした家具を作ることができます。

セラックとはタイ・インドに生息するラック貝殻虫という昆虫が分泌した樹脂を精製したもので、これをアルコールに溶解した天然塗料をセラックニスといいます。現在では菓子類のコーティングにも使用されている無毒性の素材で、セラックニスは燃えても有毒ガスが出ない安全性の高い塗料です。テン・ティン・ドアーズでは、より自然で艶の少ないビーズワックス仕上げに対し、表面を平滑に仕上げた一部の家具にこのニスを使っています。安全性を保ちながら、渋い艶のあるユーズド家具のような雰囲気に仕上がります。

一点ものともいえる個性的な表情をもつ古材の家具は、使い込むほどに味わいの出る、経年の変化を楽しめる家具ですが、季節や設置状況によっては、空気の乾燥や日光などによる色や表情、微妙なサイズの変化などが生じることがあります。以下のような点に気をつけてお使いいただくことで、より長く家具をお楽しみいただくことができます。
- 無垢材は強い直射日光や、空調などによる乾燥に弱い素材です。板の反り、ひび割れなどの原因となりますので、日当たりの良い場所、空調器具の風や熱の直接当たる場所への設置は避けてお使いください。
- 特に冬場は空気が乾燥する上、強い暖房を入れる機会も増えますので、早めの時期から加湿器などを併用して、室内の湿度をできるだけ保つようお願いします。
- 定期的に、自然素材のワックスやチークオイル等をお使いになり、お手入れしていただくことをお勧めいたします。ご使用になるものによっては色が濃くなる場合がありますので、裏などでお試しの後、全体に塗布してください。
- 濡れた食器や熱いポットなどを直に置いてご使用になりますと、輪染みなどの変色の原因となります。コースターや鍋敷きなどをお使いになり、水濡れした部分を放置しないようにお気をつけください。

テン・ティン・ドアーズの製品のもう一つの代表的な素材が、アイアンです。通常、鉄はそのままの状態で放置することで錆が出るために、製品化する場合には塗装が施されます。しかし通常の塗装では表面の塗膜がせっかくの鉄の表情を殺してしまい、この素材の持つ独特の雰囲気を残すことはできませんでした。鉄の持つ強く、物静かで、素気ない孤高な雰囲気・・・その素材色にこだわってここに行きつきました。アイアンには錆止めになる加工が施されていますが、厚い塗膜とは違い経年により少し黒ずんだ色になる場合があります。また、設置場所の環境などにより錆が生じることがありますので、湿度の高い場所でのご使用や水濡れした部分の放置などにお気をつけください。
また錆加工の商品群は、製作後の製品を、数日かけて放置して得た錆をそのままに封じ込めた、特殊な加工により作られています。これらを湿度の高い状況でお使いいただいた場合に、再度錆が生じる可能性もありますので、ご留意ください。

ユニークで環境にも優しい商品として、テン・ティン・ドアーズが設立以来取り組んできたもうひとつのテーマが、リサイクル・リユース素材の活用です。
アジア・アフリカ・中南米とどこを歩いていても、思わずシャッターを切ってしまう、呻るようなリサイクル品に出会うことがあります。声高にリサイクルなどと叫ばれる以前から、どんな国でも自然に行われてきた知恵の一つ。ものがないって時に素晴らしい!と思う瞬間です。日本では、今は空前のリサイクルブーム。経済成長とともにしばし忘れられていたこの当然の行為が、この地ではスケール・アップして定着してきました。先進国のリサイクル技術は未来に開け本当に素晴らしい!残念ながら彼の地のリサイクルはまだこの日本の域には達していませんが、それゆえの力強い素材再利用品に出会い、またそれをヒントに製品を作ることが出来ます。前述の古材ももちろん、他にも缶工場からでる廃材を利用した雑貨、不用になったタイヤで作ったバケツ、眠っていたデッドストックの布。これらの素材は薀蓄ある高度な技術を駆使したリサイクル品の理念を飛び越えて、ひとつずつ違う顔を持つその素材ならではの面白さ、その向こうにあるつつましくて大らかな生活も伝えてくれます。
リサイクル品の中には、その素材や手作りの行程の性質上、工業製品のような均一性、細部の仕上げの精密さのかけるものがあります。どうぞご了承ください。
